私が住んでいる地域では、昔は猪が、人がいる里に下りてくることはありませんでした。
畑を荒らす、なんてこともほとんどなく。
なので、対策をしている農家の方はほとんどいなかったんです。
ですが、周りの山を壊され、人が住むために住宅地としてどんどん切り崩されて行っています。
昔と比べて境目がなくなり、住むところを追われた猪たちが山を下り、人がいる所まで来るようになってしまったんです。
私の畑も何度か荒らされました。
一晩で畑が全て掘り返され、畝はぐちゃぐちゃ。
穴だらけ。
農作物は軒並みやられ・・・。
猪に荒らされた畑の写真 ↓
畝があったところは跡形もありません。
たった一晩で景色が変わっています。
猪に荒らされた後に畝を立て直しました。
なかなかここまで戻すのは時間も掛かって大変でした。
畑を猪に荒らされた時は、一晩で変わった景色に愕然としました。
もう、野菜を作るのを止めようかな・・・と考えたこともありました。
その時はもうショックで・・・。
ホームセンターなどで害獣対策グッズが売られています。
私のように、猪などの被害に遭う人達が増えてきたんでしょうね。
たくさんの害獣対策グッズが目立つところに並んでいました。
周りの畑でも、これまで柵がなかったのに、柵を立てるところも増えました。
昔は柵なんて立てて無かった。
人と野生動物との共生が人の勝手によりできなくなってしまった環境が悲しい。
しかし、何も対策をしないわけにはいかないので、私も猪対策をすることに。
この対策をしてからは、被害が減りました。
- 猪の被害に困っている
- どう対策をすればいいのか分からない
このようにお困りの方のために、
- 猪に有効な対策
- 私が猪に対し、どんな対策をしたのか
私の経験談を踏まえながら、この記事でお伝えしていきます。
まずは猪のことを知ろう。相手を知って対策を考える
対策を立てるには、まずは猪のことを知る必要があります。
猪のことを知らずにとりあえず、と適当に対策を立てても意味がありません。
猪は実は怖がりな生き物
猪は臆病です。
ですが、安全だと分かると大胆な行動を取ることもあります。
美味しい作物があると分かると何度もそこに来たり、と記憶力もなかなか良い生き物です。
基本雑食
どんぐりやたけのこ、ミミズなどを食べますが、基本雑食です。
なので、何でも食べます。
地中で育てていたじゃがいも、さつまいも、山芋、全部食べられたことがあります。
力持ち。鼻で押し上げて穴を掘るのが得意
猪は力が強く、鼻を使って地面を掘り返します。
畝があったところも鼻を使って掘り返しています。
70kgのものも持ち上げることができるので、重たい物を被せても意味がないということですね。
山芋を、クレーバーパイプを使わずに直に地中で育てたことがあるのですが、掘り返すのに1日がかりで、しかも、その時に収穫したのは2本だけ。残りの3本はまた別の日にでもしようと思っていた矢先に一晩で全て掘り返され、ご丁寧に全部食べていきました。
あんなに苦労して掘り返したのに、猪に掛かればあっという間だったのでしょうね。
猪の力の強さを目の当たりにした出来事でした。
動く時間は夜。夜行性
猪の活動する時間は夜です。
畑に被害があったのも、全て夜の間でした。
夜遅くに帰宅途中で、猪が道路を歩いている光景も見たことがあります。
猪は夜行性なので、人がいない夜の間に活動をします。
柵をしていても、隙間があればくぐり抜けられる
猪って突進してくる生き物というイメージがあるじゃないですか。
柵さえしてれば、行けないと分かって諦める、と思っていたのですが、器用に20cm程度の隙間があれば、くぐり抜けることができるんです。
猪に畑を荒らされてから柵をしたものの、何度か猪に荒らされ、何が原因なのか調べたら、隙間がありました。
この隙間を潜り抜けて畑に侵入していたと分かり、隙間を埋めました。
隙間を埋めると被害も減りました。
猪が入らないようにするためには環境を整備しよう
猪が来ないように、畑に入らないように対策を立てましょう。
猪の習性を利用し、できる限りのことをやっておきましょう。
猪が隠れられるところを無くす
周りが雑草だらけ、荒れ地で木や草がぼうぼうになっていませんか?
作物を育てている畑内も草だらけになっていませんか?
木や草がボーボーになっている環境は、猪にとっては絶好の場所です。
猪は怖がりな性格だとお伝えしました。
つまり、生い茂った草木を隠れ蓑にしながら、餌に近づくことができる環境は猪にとって安心できるんです。
恐怖心がなくなり、絶好の餌場になるため、何度もやってきます。
なので、隠れられるところを無くせばいいのです。
草木でボーボーになっているのであれば、刈り取って綺麗にしましょう。
隠れ場所がなくなれば、怖くて近付けないようになります。
餌ができるだけ見えないようにする
猪は鼻が効くので、地面の中にある作物やミミズを見つけることができるのですが、餌があるかどうかの判断は目視でしています。
作物が見えると餌があると認識してしまいます。
なかなか難しいかもしれませんが、作物が見えないようにするのも猪対策としては有効です。
例えば、作物の周りに別の作物を植えて、高さで見えにくくするとか。
周りに植える作物は、とうがらしやシソなどがおすすめです。
とうがらしやシソは猪が嫌がる作物です。
シソを植えてても猪は来るときは来るので、完全な猪避けにはなりません。
実際、シソを植えていましたが、被害に遭いました。
よく畑に生ごみを撒いている光景を見ることがあります。
あれは、畑の肥料にするために撒いているのですが、これも実は危険なんです。
生ごみも餌だと認識されてしまいます。
生ごみを肥料にするなら、土の中に埋めて見えないようにしましょう。
1番の対策は柵の設置。助成金が出る地域もある
猪対策として1番効果的なのは、侵入をさせないよう柵を設置することです。
柵にも色んな種類があります。
「柵の種類と特長比較表」
費用 |
設置の しやすさ |
防獣効果 |
維持管理 (メンテナンス) |
耐久性 | |
電気柵 |
× 高い |
◎ | ◎ | △ | △ |
ネット柵 |
◎ 柵の中では1番安い |
〇 | 〇 | 〇 | △ |
防獣フェンス (アニマルフェンス) |
〇 手に入りやすい価格 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ワイヤーメッシュ |
〇 手に入りやすい価格 |
△ | ◎ | ◎ | 〇 |
金網 |
△ 高め |
△ | ◎ | ◎ | ◎ |
1番効果が高い柵は、電気柵です。
猪は鼻を使って柵を確認するので、触れると電気が流れる電気柵は猪を追い払うのには1番効果があります。
ただ、電気柵は費用が掛かるのと電気が通っているかなどのメンテナンスの手間が掛かるというデメリットもあります。
住んでいる地域によっては市が助成金を出してくれている場合もあります。
私の地域も助成金を出してくれていました。
高いと諦めずに、市から助成金が貰えるかどうかも確認をしてみるといいですよ。
総合的におすすめの柵は、ワイヤーメッシュです。
比較的手に入りやすい価格で、ホームセンターなどで売られています。
設置場所をあらかじめ決めてから設置しないとやり直しがきかない、柵の長さが決められており、設置場所を考えないといけないという設置が少し難しいというデメリットがあります。
ですが、1度設置してしまえば、耐久性もあり、メンテナンスも不要で、比較的丈夫なのでかみちぎられることもあまりないので、おすすめの柵です。
ちなみに、私はワイヤーメッシュの柵と防獣フェンスを設置しています。
出入りするところはワイヤーメッシュと、開け閉め用の扉を設置。
奥の方は防獣フェンスを使用
防獣フェンスも手に入りやすい価格で、耐久性はワイヤーメッシュに少し劣りますが、長さが調節できる点では使いやすいです。
柵を設置すると人間が入る扉のようなスペースを確保しないといけません。
ワイヤーメッシュや電気柵、金網だと頭を悩ませるのですが、その点防獣フェンスだと、防獣フェンスを切って組み合わせる、ワイヤーメッシュと防獣フェンスを組み合わせるなど、色んな使い方ができます。
防獣フェンスでなく、ネット柵との組み合わせでもいいと思います。
柵を設置するときは隙間に注意
猪は20cmくらいの隙間があれば、侵入ができます。
また、地面と柵の間にスペースがある場合も、その隙間をかいくぐって侵入してきてしまうので、柵を設置する時は隙間がないように設置をしましょう。
柵の下の地面を掘って侵入してくることもあるので、地面を掘り返されないように重しや棒などを置いておくといいでしょう。
中にはジャンプして柵を飛び越えてくる猪もいますが、飛び越えることは猪にとっても足を傷めるなどのリスクがある行為なので、柵の高さよりも、地面との接触面に注力をした方がいいです。
柵を設置しても猪が何度か侵入してしまいました。
調べると隙間があったので、さらに柵を重ねて隙間を埋めるようにすると侵入されなくなりました。
柵を設置する時のポイント
- 柵の隙間がないように設置する
- 地面との接触面の隙間も埋める
- 掘り返されて侵入されないよう、柵の下に棒や重しなどで対策をする
防獣フェンスの設置の仕方
私は防獣フェンスとワイヤーメッシュを使っています。
ここでは、防獣フェンスの設置の仕方を説明します。
防獣フェンスやネット柵はこんな感じで設置するんだ~という感じで参考にしていただければと思います。
1.柵になるネット柵やフェンスを用意
私が買ったのは、写真のものです。
防獣フェンス、アニマルフェンスと呼ばれていますが、ネット柵に近いものです。
ネットに比べて頑丈で、嚙みちぎられたり、体当たりされてもなかなか破れないものですが、ネット柵に比べて重さがあるので、持って運ぶのは苦労しました。
ネット柵よりは値段は高めにはなりますが、耐久性などを考慮し、こちらを選びました。
2.支柱と結束バンドを用意
支柱は野菜を支える支柱ではなく、防獣ネットや防獣フェンス用の支柱を用意します。
防獣フェンスやネット用の支柱は1本当たり200円くらいです。
そんなに高くないですよ!
私の家の近くのホームセンターでは、税抜き199円で売られていました。
支柱と防獣フェンスを結び付けるのは紐よりも結束バンドがおすすめです。
100均とかで売られている物で十分です。
防獣対策グッズは、年中売られていますが、動物が活発になる春の時期に売り場面積も増えるので、春頃に見に行くといいと思います。
種類も豊富です。
ネットからでも買えますよ!
私は車がないのと、重かったので全てネットで購入しました。
3.支柱を立てる
まずは支柱を立てます。
支柱を並べていき、しっかりと地面に打ち付けます。
支柱を何本か等間隔で並べるとフェンスも倒れることなく、安定します。
本数はあまりケチらない方がいいですよ。
4.フェンスを適当な大きさに切り、支柱に括り付けていく
隙間がないように、土地のサイズに合わせてフェンスを切り、支柱に括り付けていきます。
この時に結束バンドを使います。
2か所くらいにしっかりと結び付けましょう。
他の支柱にも同じように結束バンドでフェンスと支柱を結び、倒れないようにします。
地面の隙間を無くすのも大事ですが、壁との隙間もなくすことも大事です。
フェンスを長めに切って設置しました。
溝があるので、通り抜けられないようにフェンスを切って設置します。
私はフェンスを2重にして設置しました。
耐久性をさらにUPさせるためです。
5.コンクリートブロックなどを置くと倒れにくい
これは別の柵の写真ですが、コンクリートブロックを置いてます。
こうすると柵が倒れにくいので、おすすめです。
害獣対策にと売られていても効果が無かった対策グッズ
柵を設置する以外にも害獣対策として売られているグッズがあります。
- 100均とかでもよく見かける、ライト
- 音を出す機械
- 猪避けの臭いを発する物
これらは費用も安く、簡単に対策できますが、効果は期待しない方がいいです。
臭いや音、光は、最初は効果があるかもしれませんが、猪も慣れてしまいます。
慣れてしまうと恐怖心もなくなるので、猪避けにはなりません。
日中は太陽光で充電して、夜に光るライトを買い、畑に設置しましたが、全く効果がありませんでした。
私の家の畑は、色んな猫達が来たり、地域猫のトイレになったり、遊び場になっているので、臭いや音を出す機械は設置していません。
猫除けをするつもりはなく、むしろ猫は歓迎なので、猫達まで怖がらせてしまいたくないからです。
ライトなら、と設置しましたが、猪対策には全くなりませんでした。
1番効果的なのは、やはり柵の設置です。
そして、畑周辺の雑草を刈って隠れ場所を作らないようにすること。
猪対策としては、この2点が効果があると思います。
現に柵を設置してからは猪に畑を荒らされることはほぼなくなりました。